毎日の通勤は大変だし、仕事もそんなに楽しくない。でも生活があるから、辞められない。
そんな気持ちで、日々過ごしていませんか。
「お金に対する不安がいつも漠然とある」
「経済的な自立ってどうしたらいいの?」
「近くにお金の相談を出来る人がいない」
本書を読めば、お金に関するモヤモヤに、一筋の光を与えてくれるでしょう。
お金に関する新しい挑戦ができない人
FIREという言葉に埋める事ができない距離を感じる人
株式運用だけでは不安な人
資産管理に興味がある人
『FIRE最強の早期リタイア術 最速でお金から自由になれる究極メソッド』について
本書は、早期リタイア達成に向けての戦術や、新しい取り組みを始める際の心の向き合い方について書かれたものです。
中国の農村で生まれ育ち、決して裕福ではない環境に身を置いていたクリスティー氏が、パートナーのブライス氏と出会い、30代で早期リタイアを達成します。
仕事に縛られない生き方で、世界を転々としながら資産を増やしていくという、夢のような話を現実にしたお話です。そのノウハウが身近な表現で読みやすく書かれており、FIREに興味はあるが、新しい1歩を踏み出す事に躊躇されている人に最適です。
著者について
著者は2名です。
クリスティー氏は、FIREムーブメントの第一人者です。FIREにまつわる情報を集めたサイト「MILLENNIAL REVOLUTION」を運営しており、CBC(カナダ放送協会)にて取り上げられたビデオは口コミで広がり、450万を超える視聴数を得ました。
ブライス氏は、クリスティーのパートナーで早期リタイア達成者。定期的にクリスティーと海外旅行に出かけるなど充実した日々を送っています。
本の概要

- 価格:1,760円
- 発売日:2020年9月24日
- ページ数:304ページ
本書はクリスティー氏の言葉で述べられています。
【要約】FIRE最強の早期リタイア術 最速でお金から自由になれる究極メソッド
本書は以下の18章構成で書かれています。
- お金のためなら血も流す
- 桃のシロップ、段ボール箱、コーラの缶
- (まだ)自らの情熱に従うな
- あなたは私のものだ
- 誰も助けにはきてくれない
- ドーパミンについてわかったこと
- マイホームは投資ではない
- 本物の銀行強盗
- 株式市場の暴落をいかに乗り切るか
- 私を救ってくれた魔法の数字
- 現金クッションと利回りシールド
- お金を浮かすために旅行をする
- バケツ・アンド・バックアップ
- インフレ・保険も恐るるに足らず
- 子どもはどうする?
- 早期リタイアの負の側面
- 自由になるのに100万ドルは必要ない
- 我が道を行け
著者の生い立ちから、早期リタイアに至るまでの道のりを物語風にまとめながら、時間的な自由を得る為、FIRE実現法について書かれた本です。
ポイントは以下の6点です。
- 欠乏マインドを理解する
- まずは自らの情熱に従わない
- 4%ルールを理解する
- 幸福感を意識して支出を抑える
- インデックス投資を始める
- 資金を管理する
1つずつ解説します。
欠乏マインドを理解する
欠乏マインドとは、何かが不足している時に、それが生活において最も重要なものになるというマインドです。
幼少期に中国の農村部で育ったクリスティー氏は、両親と3人で生活していましたが、1日44セント、当時のアメリカ人平均日収の1%以下で生活し、欲しいおもちゃを買うなどとんでもありませんでした。
食料、燃料、薬にしかお金を使えないという過酷な経験をした事で、自然と育まれた欠乏マインドが後に重要だったと述べています。欠乏マインドが教えてくれた事は3つ。
- お金こそが、世界でもっとも大切なもの。
- お金は、犠牲を払う価値があるもの。
- お金は、血を流して得る価値のあるもの。
その結果、クリスティー氏は、上位1%のミリオネアになれたといいます。
まずは自らの情熱に従わない
クリスティー氏が大学の専攻を決める際、興味を持っていた科目は次の優先順位でした。
- ライティング
- 会計
- コンピューター・エンジニアリング
学位を取るのにかかる費用と、卒業後に期待できる収入を比較してみた結果、コンピューター・エンジニアリングが圧倒的な勝利を収めたため、専攻先に決めました。
希望の職種を選んでも、翌日の食事代に困るような状態では、楽しく毎日過ごせません。また必ずしも、情熱はよい仕事につながらず、今楽しいと思えることも、数年後には心変わりしている可能性もあります。好きな仕事もフルタイムで働いていると、嫌な気持ちになる日もあります。
心から好きな事をすれば、お金は後からついてくるという考え方は危険です。まずはお金を追いかけましょう。その後でも好きな事はできます。
4%ルールを理解する
4%ルールは、退職プランと経済理論を研究したトリニティ大学の研究が基になっています。貯蓄のある退職者が、毎年一定割合の金額を引き出しつつ、残りの資金をそのまま投資しておいた場合、ポートフォリオがどうなるのかを調べたものです。
引き出し率が4%であれば、100人中95人が投資の元本に手を付けず、余生を終えられるという報告がありました。
つまりポートフォリオの4%の資金で1年間の生活費を賄えれば、貯蓄が30年以上持続する可能性が95%だという事です。
4%理論の問題点を挙げるなら、成功が保証されていない事です。100人中95人は成功しても、5人は失敗する可能性があります。そこで4%ルールの保険として、現金クッションと利回りシールドも提案されています。
現金クッション
高金利の銀行口座に貯めておく緊急時用の準備金です。
4%ルールで失敗をしてしまう5%の人は、リタイアして最初の5年で株式市場の暴落にあい、急落している時に株式を売却してしまっています。そんな時でも、極力生活費のために資産を売却しなくていいように備えておく資金です。大体生活費の5年分あれば十分です。
利回りシールド
一時的にポートフォリオの中心資産を高金利なもの(優先株、不動産投資信託、社債、高配当株)に置き換え、受け取る配当や利子を上げ、現金クッションを増やします。
資産の値動きは激しくなりますが、一時的に高利回りを手にする事で生活費を補い、資産の売却を最小限に抑えます。
幸福感を意識して支出を抑える
クリスティー氏は、できるだけ幸福感を損なわずに、感じながら支出を抑えるべきだと考えます。そこで次のようなステップを提案しています。
ステップ1:あなたを幸せにしない基礎的な支出を削る。
銀行の手数料などがよい例です。
ATM手数料、振込手数料など、余計なお金を払っているならば、手数料無料のインターネットバンクを開設しましょう。利用していないサブスクや頻度の少ない固定電話もあれば解約しましょう。
ステップ2:痛みの伴う支出を削る
削ると多少不快な思いをする支出を探してみましょう。
例えば、昼食を手作り弁当にする、職場へ自転車で行く、新品ではなく中古品を買う、などです。ただし、試してみてしっくり来ないものは、節約リストから外しましょう。削るとあなたの幸福に影響を与えてしまう支出だからです。
ステップ3:所有している高額なものを減らす
代表的なものは自動車と家の2つです。
車は、部品が1つ壊れただけで、高額な金額を請求される危険性があります。いきなり手放すのは難しくても、まずは走る距離を減らしましょう。想定外の費用は、走る距離によります。オフィスまで自転車で行く、公共機関などを利用するなどすれば、想定外の費用を減らしながら、ガソリン代や維持費、保険料も下げられます。
住宅の所有にもお金がかかります。実際に住む家となると、住宅ローン以外に、購入手数料、固定資産税、維持費、保険料など追加費用が多数発生します。仮に不動産価格が上昇して売却したとしても、利益の大半はすでにないか、マイナスになるケースもあるでしょう。
ステップ4:節約した支出の一部を自分のご褒美に
ここまできたら、幸福感を持続させるため、節約した支出の一部を自分のご褒美に使ってみましょう。節約した金額を下回る支出で済めば、幸福な生活をしつつ、見事に貯金残高を増やせます。
ユニークな例として、通貨の強い国で稼ぎ、弱い通貨の国で生活する地理的アービトラージを利用することを推奨しています。クリスティー氏はペルーやタイを旅行しながら、月間1,130ドルで贅沢な暮らしを堪能出来たそうです。ベトナムの月収平均が約150ドルなので、月1,130ドルでも現地では途方もない金額となります。
お金を使う事に中毒性があるのは、脳が期待値をリセットしてしまうからです。
同じ支出を繰り返しても同量のドーパミンは得られません。その事を理解した上で、「多くのモノを所有しすぎて、基礎的な支出が高く、想定外の費用もある、典型的消費者の予算」から「基礎的な支出が低く、想定外の費用もなく、幸福感をもたらす自分へのご褒美が多い予算」に変えていきましょう。
インデックス投資を始める
クリスティー氏が、はじめてお金の運用を考えた時、自分の銀行の担当者に相談しました。担当者は、銀行が運用しているある投資信託を勧めてきましたが、クリスティー氏は疑問を感じ、質問しますが、適切な答えは返ってきません。結局、それは単に全商品の中で、最も販売手数料が割高なものだと後に分かります。
銀行の販売員には、商品を売る事によるインセンティブがあり、銀行に利益のある商品を勧めなくてはいけません。もしいわれるがままにしていたら、自分の利益となるべき多くのお金が、銀行の利益となってしまっていました。
インデックス投資は、どの会社の株価が上下するかではなく、株式全体の成長に賭けます。レースの馬に賭けるのではなく、その運営元に賭けるという事です。運営元はどの馬が勝とうが負けようが儲けられます。インデックス投資は、時価総額に準じて保有銘柄の割合が決まるので、個々の企業は倒産するかもしれませんが、すべての企業が同時に倒産しない限り、決してお金がゼロになる事がありません。
資産を管理する
ある時、夫のブライス氏の目に1つの論文が目にとまりました。
経済学者のハリー・マーコウィッツが考案した現代ポートフォリオ理論です。
現代ポートフォリオ理論では、資産は2つの項目で表されます。
期待リターン(利益)とボラティリティ(値動き)です。
ここで株式(ここではS&P500)と債権を比較してみます。
株式
〇長期的な利益が債権に比べて大きい
×値動きが激しい
債権
〇値動きが安定している
×長期的な利益が株式より小さい
株式の割合を高めると長期的な利益は高くなりますが、値動きは激しくなります。
債権の割合を高めると、長期的な利益は低くなりますが、値動きは緩やかになります。
それぞれの資産の傾向を理解した上で、それぞれの株式と債権の割合を変える事により、自分が許せる範囲で値動きをコントロールできるのです。
ステップ1:株式のアロケーション(割り当て)を選ぶ
アロケーションとは、予算や資源を分割して適切に割り当てる事です。年齢と同じ割合の債権を保有するというのが通説です。
若い時ほどリスクを取る事ができ、年齢を重ねるにつれて安定性を重要視した方が良いからです。しかしその考えは、20代の時はポートフォリオの価値が半減してもかまわないという前提に立っています。当時のクリスティー氏には納得できなかったようで、ブライス氏との相談の結果、もう少し安定性を持たせた株式6割、債権4割という割合に決めました。
ステップ2:指数を選ぶ
次はどの指数に投資するかを選びますが、注意が必要なのは投資家が自国市場に過剰にウェイトを置いてしまう、ホームカントリーバイアスです。
特に経済規模がそれほど大きくない国にとって、愛国的投資に比重を置き過ぎてしまう事は、大きな悪影響になり得ます。クリスティー氏の第二の故郷はカナダですが、カナダ全体の経済規模は、アメリカ1つの州の規模と変わりません。そこに全資産を投資するのは愚かな行為だといいます。ただし、カナダの国内株に投資すると税優遇が受けられる点も考慮し、クリスティー氏が選んだ選択は、カナダ34%、アメリカ33%、EAFE(欧州、オーストララシア、極東)33%でした。
ステップ3:投資ファンドを選ぶ
具体的なファンドを選びます。昔は投資信託がほぼ唯一の選択肢でしたが、最近ではETFもよいといいます。
理由は投資信託と比べて、手数料が安くすみ、誰でも買いやすいという所です。
クリスティー氏は当初、投資信託で利益を上げ続ける事ができましたが、2008年の世界金融危機で、1日1000ドル失う経験をしました。そういう事例にも対応するため、次のステップが重要になります。
ステップ4:リバランシング
世界金融危機の間、クリスティー氏を救ってくれたのがこのステップでした。
資産が目安のアロケーションから大きく逸脱した時は、当初の目安に近付けるため、資産を売り買いして調整します。株式市場は長期的には右肩上がりで仮に一時的に下がったとしても、資金を取り戻すには待てばいいだけです。下落時に売って、回復期に利益を逃す事こそが、お金を失い続ける唯一のパターンです。資産を売るのは、その資産のアロケーションが目安を上回る時だけです。
第二にリバランシングする事で、正しい投資行動が強要されます。目安より上昇した資産だけを売り、下落した資産だけしか買う事ができません。最後に投資につきまとう、感情に投資行動が左右されなくなります。
2008年の金融危機の時、クリスティー氏のポートフォリオ全体は下落していましたが、債権の保有額は上がっていました。金融危機によって、お金がリスク資産(株式)から安全資産(債権)へ流れたからです。クリスティー氏は本能的に資産を売却し、投資からの撤退する事も頭をよぎりましたが、現代ポートフォリオ論は違いました。保有額が増えている債権を売却し、下落を続ける株式を買い増せといいました。これがまさしく取るべき行動だったのです。
ただし、このリバランシングは、ポートフォリオに株式と債権の両方がある事、株式がすべてインデックスファンドである事が前提と述べられています。
『FIRE最強の早期リタイア術 最速でお金から自由になれる究極メソッド』がおすすめの人・おすすめでない人
おすすめの人は
- お金に関する新しい挑戦が出来ない人
- FIREという言葉に埋められない距離を感じる人
- 株式運用だけでは不安な人
- 資産管理に興味のある人
おすすめでない人は
- 端的にHOWTOだけを知りたい人
- 誰にも頼る事なくFIREを目指している人
- 我慢ゼロでFIREを達成したい人
おすすめの人
お金に関する新しい挑戦が出来ない人におすすめできます。
クリスティー氏は何か始める前に必ず一旦数字に置き換えて、熟考してから動くエンジニアです。お金に関する新しい挑戦が出来ない慎重な人にも、数字やグラフを交えた論理的な説明やその時々に感じた心境などを語っているので、安心してFIREへの第1歩をすすませてくれます。
FIREという言葉に埋められない距離を感じる人にもおすすめできます。
クリスティー氏自身は、幼少期に家族3人で1日44セントという、決して恵まれていたとは言えない環境で育ち、その後一般的な会社勤めを通して、30代で早期リタイアを達成しました。その為、我々にもできるのではないかとFIREを身近なものに感じさせ、勇気付けてくれます。
株式運用だけでは不安な人にもおすすめできます。
本書では、株式の運用も積極的に勧めています。また株式暴落の際の対処法も、エンジニア仕込みの分析、グラフを交えた論理的なアドバイスをしてくれています。その時々の状況にあわせ、株式以外の資産の運用についても触れられているので、より多様なリスクに対応できるようになります。
資産管理に興味がある人にもおすすめできます。
クリスティー氏は株式運用と債権をベースに資産形成し、FIRE生活を送っています。人一倍心配性な性格で、FIREができる資産ができてからも、不安で悩みました。そんな性格から綿密な計算に基づいて立てられた計画、検証、実際にFIREしてから調整したポートフォリオなどの全容も解説してくれています。FIREを計画してから、達成後の不安を抱えている人まで幅広い考察が得られます。
おすすめでない人
端的にHOWTOだけ知りたい人にはおすすめできません。
本書は、クリスティ―氏の生い立ちから、実際にFIREをするまでの苦悩などが、要所に人生経験やその時の感情などが盛り込まれています。端的に方法が知りたい方には、もどかしく感じる部分もあります。
誰にも頼ることなくFIREを目指している人にもおすすめできません。
クリスティー氏は、パートナーのブライス氏と二人三脚で資産を形成してきました。起こった問題は、その都度パートナーと相談しながら一つ一つクリアしていきました。1人の力で成し遂げたい人も、参考にはなりますが、達成までのスピード感や壁への乗り越え方に少し違和感を感じる可能性があります。
我慢ゼロでFIREをしたい方にもおすすめできません。
本書は、まずは自らの情熱に従わないという事を提言しています。FIREまでの資産形成を最優先に考えている内容です。今自分のやりたい事を我慢してまで、FIREしなくてもいいという人には、ゴールまでの道筋が違います。
【Youtubeで要約】FIRE最強の早期リタイア術 最速でお金から自由になれる究極メソッド
Youtubeで楽しみながら要約を知りたい方は、Youtubeで本書を纏めている方の動画を観るのでも、勉強になります。
本要約チャンネル【毎日19時更新】
【ベストセラー】「FIRE 最強の早期リタイア術――最速でお金から自由になれる究極メソッド」を世界一わかりやすく要約してみた【本要約】
YouTube図書館
【10分で解説】FIRE 最強の早期リタイア術 最速でお金から自由になれる究極メソッド(クリスティー・シェン , ブライス・リャン / 著)
中田敦彦のYouTube大学 – NAKATA UNIVERSITY
【働かないで生きていく①】最強の早期リタイア術〜遊んで暮らして金もある〜(FIRE)
OLめいの本要約チャンネル
【投資】『FIRE 最強の早期リタイア術 最速でお金から自由になれる究極メソッド』【本要約】
要約図書館 エッセンシャルブック 【毎日19時更新】
FIRE 最強の早期リタイア術 最速でお金から自由になれる究極メソッド
立花岳志チャンネル
FIRE 最強の早期リタイア術 〜最速でお金から自由になれる究極メソッド
大人の教養塾【本要約チャンネル】
【9分で本要約】FIRE 最強の早期リタイア術――最速でお金から自由になれる究極メソッド|年収400万円でも10年後に早期リタイアする方法
まとめ
本書は、FIREまでの道筋をHOWTOだけでなく、そこにあるストレスや感情の変化まで書かれており、「やり方は理解できても、自分に本当にできるのか」「色々なやり方があるみたいだけど、何から取り組めばいいかわからない」といった人に寄り添ったアプローチで、背中を押してくれる内容となっています。FIREに憧れがある人へ希望と勇気を与えてくれる事でしょう。
