「一時的な暴落に違いない!きっと株価は戻るはず」
「怖いから、上がったらすぐに利確しよう」
「もう少し下がるまで待とう」
投資をしている方なら一度はチャートとにらめっこをした事があるのではないでしょうか?
株式投資を続けるために必要なものは、賢い頭脳や分析力ではなく他人や自分の感情、メディアに左右されない「株メンタル」です。
本書を読み「株メンタル」を手に入れれば、株式投資における欲望や恐怖に振り回されることは無くなるでしょう。
投資で損失を出したことがある人
投資で感情に振り回されがちな人
株式投資は企業分析こそが全てだと思う人
投資家としてのメンタルを鍛えたい人
『株メンタル トップ3%投資家の最強ソリューション』について
本書はチャンネル登録22万人の投資系YouTuberであり、そのほか様々な肩書を持ち成功を収めている個人投資家の上岡正明さんが、投資家に必要な心理状態を行動経済学や行動ファイナンスの知見から分かりやすく解説されている本です。
著者について
著者である上岡正明さんは様々な肩書を持っています。
- 株式会社フロンティアコンサルティングの代表取締役
- チャンネル登録者数約22万人のビジネス系YouTuber
- MBA(多摩大学院経営情報学修了)保有の脳科学者
- 元放送作家
- 個人投資家として25年で6億円の資産を築く
放送作家・脚本家を経て、27歳で広報PRのコンサルティング会社を設立した実業家。その一方で同時期に元手200万円で株式投資をスタートし、3度の大暴落に逢いながらも25年で6億円の資産を築いた個人投資家でもあります。
『勝てる投資家は、「これ」しかやらない』、『うねりチャート底値買い投資術』、『株はたった1つの「鉄板銘柄」で1憶稼ぐ!』など、そのノウハウを記した書籍は中国や韓国などでも翻訳され、累計55万部を超えています。
本の概要

- 価格:1,540円
- 発売日:2022年8月26日
- ページ数:240ページ
投資において必要な「株メンタル」について行動経済学や行動ファイナンスの知見から分かりやすく解説されている本です。
【要約】株メンタル トップ3%投資家の最強ソリューション
本書は以下の構成で書かれています。
- 第1章 220万人のトレード調査でわかったトップ3%の投資家メンタル!
- 第2章 なぜ投資家の9割は負けるのか?
- 第3章 行動経済学で学ぶ!株メンタルの武器
- 第4章 トップ3%投資家のマインドセット
- 第5章 実践!株メンタル投資術
- 特別付録 23年間で5億円を稼いだ秘蔵の投資術
大きくまとめると以下が結論です。
- チャートは人の心理
- 欲望と恐怖を冷静に分析せよ
- 心理的弱点は武器に変わる
- 株メンタルを活かした投資術
- トップ3%投資家のマインドセットとルール
補足で説明していきます。
チャートは人の心理
株式投資をするためには分析力が必要だと感じますよね。
例えば、企業の財務諸表や業績をもとに健全性や将来性を分析するファンダメンタルズ分析や、チャートや指数で判断するテクニカル分析をする力です。
しかし、チャートは「人の心理」で動いていると上岡さんは述べています。
「ランダムウォーク」という言葉がありますが、株式市場の動きは振り子の動きによく似ていると言われます。振り子のように人の恐怖と欲望によって左右に引き寄せられているのがチャートの動きです。
「金融危機が来るかもしれない」
「怖いから、上がったらすぐに利確しよう」
「逆行して下がり始めたけど大丈夫かな?」
こういった心理的プレッシャーに翻弄される投資家たちがチャートを動かしています。分析力も大事ではありますが、それだけでは勝てません。他人や自分の感情、メディアに左右されない「株メンタル」が必要です。
株式投資は安い時に買って高い時に売る。これができれば利益が出せます。聞いただけなら簡単なことに思えるかもしれません。でもそれが出来ないのは皆心理的プレッシャーに負けてしまうからです。
欲望と恐怖を冷静に分析せよ
人間の心理がチャートを動かしているなら、その心理を分析する必要があります。
これに役立つのが行動経済学や心理ファイナンスであり、本書の一番のポイントと言えます。これに基づいて自分の欲望と恐怖に向き合いながらエントリータイミングを検討することが大切です。
本書では「株メンタル」の武器として11の心理パターンを紹介しています。
本記事で3つ簡単にご紹介します。
<株メンタルの武器>
損失回避性バイアス
人は損をすることを異常に嫌うという心理です。
臆病になってすぐ利益確定をしたり、損失を取り戻すためにリスクを負おうとする
といった行動が当てはまります。損をすることを回避しようとするあまり、不合理
な行動をとってしまうことを言います。
感応度逓減性バイアス
金額が大きくなるほど、人が感じる価格の価値は鈍化するという意味です。損失が増加すると初期の頃よりも金額の損失に対する心理的ダメージが軽減されてしまいます。損失を嫌っているにもかかわらず、金額が大きくなると損にマヒしてしまいます。
参照点依存バイアス
自分の最初の買い値を基準にして、そこに引きずられたまま依存しようとすることです。最初に買った価格を参考にして、そこから下がると損切せずに今度はナンピン買いをしてしまう現象などが当てはまります。ナンピン買いとは保有株の価格が下落した際に買い増しをして購入時の平均単価を下げることですが、無計画に行ってしまうと損が増大してしまう恐れがあります。
この3つを知っているだけでも、いざという時に自分のことを冷静に見る事ができますね。本書では具体的な数値やグラフを用いて詳しく解説されています。その他の「株メンタル」の武器も合わせてぜひご確認ください。
心理的弱点は武器に変わる
人間は迷い、葛藤、恐怖、欲望、過信といった様々な感情に支配されますが、その心理的弱点は大きなチャンスに変える事ができると上岡さんは述べています。それが株メンタルの「武器」なのです。
多くの人が迷い、冷静さを失った行動をしている。それを熟知して、先手先手で先回りをすることができれば、自分だけが大きく儲かる可能性が高まるということです。
インデックスの積み立て投資などにおいては、暴落相場は我慢して積み立てを続けましょうと言われるのも同じことですね。世界が恐怖に支配されている時はバーゲンセール状態でありチャンスということです。
先ほど挙げた3つの株メンタルの武器から具体的に考えると、
- 損失を出した途端に大きなリスクを取ろうとしない
- 損を恐れず適切に損切をする
このように、心がかき乱された時に冷静になって取るべき行動が見えてくると思います。
ぜひ人間本来が持つ心理的弱点を理解して自分を分析し、世界の投資家にも当てはめて考えてみると良いでしょう。
株メンタルを活かした投資術
本書では株メンタルを活かした具体的な投資術を紹介しています。
<株メンタルをコントロールする仕組みづくり>
欲望や恐怖のままに行動しない具体的な仕組みづくりが大切です。欲望がそのままトレードに反映されないよう、物理的な手間を加えるのがポイントです。詳細は本書でご確認ください。
<株メンタル投資術>
究極の株メンタル投資術として、上岡さんがこれまでの経験から得た株式投資のポイントを7つ紹介されています。本記事では一部をご紹介します。
無欲のまま、儲けを狙う
投資とは金儲けそのものなのでどういった心境なのか難解に感じる部分もありますが、これまで紹介した通り欲望に支配されないことが大切ということです。目の前のルールと規律を守ることに重きを置いているだけ、という心理状態を目指します。
目標金額を決めない
これも欲望に支配されないためです。目標を決めてしまうとプレッシャーを感じてしまい、損失を出した時にはそれを取り戻すために大きなリスクを負って無理なトレードをしてしまう可能性があります。
期限を決めずに3段階のギアを持つ
どうしても目標金額を持ちたい時は臨機応変にスピードのギアを変更できるように目標を3段階に設定し、軌道修正を繰り返します。株式市場の動きは変えられないので状況に応じて制御しなければならないのは自分自身の感情だけです。
本書ではこのほかにも4つの投資術が紹介されています。
トップ3%投資家のマインドセットとルール
本書では「トップ3%投資家」と称して勝ち組投資家になるためのマインドセットやルールが紹介されています。一部をご紹介します。
リスクを受け入れる
つまり損失の固定費化です。リスクなしにリターンを得る事はできません。その上で、あらかじめどれぐらいのリスクなら許容できるかを決めておきます。損失の固定費化ができると、暴落が起きても慌てずに計画していた損失額に合わせて動くことができます。
「リスクの見える化」を追求する
相場のすべてを知ることはできません。何事も起こり得る。そう理解した上で、投資戦略はシナリオを立てて考えるということです。シナリオが外れたら現金保有率を高めたり、一度損切りして冷静に考える。シナリオが当たっている場合は自分を律しながらこれまで通りルールに基づいたトレードを繰り返す。こうして投資シナリオを持つことを徹底します。
「同じトレードが100回できる」を目指す
正しいトレードを反復した積み重ねによって、自分が勝てる方法を確立します。相場のことはよくわからないが、自分のことはよく知っている。こういう投資家が勝ち続けています。
詳細やこのほかのマインドセット、ルールは本書でぜひご確認ください。さらに巻末には特別付録として「23年間で5億円を稼いだ秘蔵の投資術」が記されています。
これらのポイントは投資だけに限らず、仕事や私生活にも通用する考え方ばかりです。きっと今後様々な場面で生きてくるでしょう。
『株メンタル トップ3%投資家の最強ソリューション』がおすすめの人・おすすめではない人
おすすめの人
- チャート分析をしている人
- 株式投資で一喜一憂してしまう人
- 損失を出したことがある人
おすすめではない人
- 完全に放置して積み立てをしている人
- 銘柄選びをしたりエントリータイミングを検討したりしない人
- 投資にあまり欲が出ない人
おすすめの人
株式投資をする上でチャートをよく見て分析している方は、一度は本書で挙げる心理状態に陥ったことがあると思います。どうして欲望や恐怖に振り回されて合理的でない行動を取ってしまうのか、本書で理解できれば今後の投資ライフの助けになるはずです。
株式投資で一喜一憂してしまう人も、本書を読めば冷静になって相場と向き合い、愚直にトレードに臨むことができるようになるでしょう。
また、損失を出した時に起こる特有の心理バイアスにも触れられているので、苦い経験をしたことがある方はより理解が進むと思います。
おすすめではない人
チャート分析における心理状態とトレードの話がメインのため、インデックスの積み立て投資をしている方やチャート分析、銘柄分析をしない方、エントリータイミングを考えずあえて放置をしている方には特に響かない内容かもしれません。
マイルールに完璧に則ってコツコツと投資を続けてこられた方や、あまり欲を出さずにいられる方には向いていないでしょう。
【Youtubeで要約】株メンタル トップ3%投資家の最強ソリューション
Youtubeで楽しみながら要約を知りたい方は、Youtubeで本書を纏めている方の動画を観るのでも、勉強になります。
【特撮と投資】ルネ岩田
「株メンタル①」あなたがいるから相場が存在する。
まとめ
行動経済学・行動ファイナンスに基づいたメンタルコントロールという、これまでにない切り口から述べられた投資本です。
人間の様々な心理状態がチャートを形成していること、その上で株式投資に必要なものは投資家の安定した心理状態だという話には驚かされます。「投資=ギャンブル」というイメージを持つ方がいれば、そのイメージは一変するでしょう。
本書で紹介される理論は決して難しい話ではなく、誰もが感じたことがある”投資家・ギャンブルあるある”の感覚が例として挙げられており、心理学に基づいた解説はとても興味深いものです。グラフや数値での解説もあるので無理なく読み進められます。
この知見なくして株式投資はできないと言っても過言ではありません。特に損失を出したことがあったり、恐怖や欲望を目の当たりにしたりしたことがある方には、株式投資のメンタルコントロールを勉強するためのバイブルになるでしょう。
