会社員や公務員など、組織人として働いている方で、手取り収入がなかなか増えていかず漠然とした不安を感じてはいないでしょうか。
将来の不安から経済的自由を目指している方もいらっしゃるでしょう。
そんな今の状況を変えたい人に、この本はおすすめです。
FIREを目指していて、資産形成のスピードがあげたい人
支出削減の具体的な事例や数字を把握したい人
マイクロ法人の具体的なメリットを知りたい人
『お金持ちになれる黄金の羽根の拾い方 知的人生設計のすすめ』について
本書は日本にある制度の歪みや情報の格差を利用してお金持ちになる方法が書かれた本です。
本書では「マイクロ法人」を設立して節税することが重要であると主張しています。
マイクロ法人とは経営者とオーナーが同じ法人のことで、本書で定義された用語です。
マイクロ法人を使った節税シュミレーションが具体的でかつ論理的に掲載されています。
経済的自由を目指す方にとっては必読となる内容でしょう。
著者について
著者の橘玲さんは投資や経済に関するノンフィクション・フィクションの書籍を手がける作家です。
元々は編集者として会社員をされていました。
しかし、日本から個人で海外株を買えないことに疑問を感じて、海外銀行のオフショア口座を開設。
その時の経験を投資仲間とともに「ゴミ投資家」シリーズとして発表したことから作家の道を歩み始めます。
2002年に経済小説「マネーロンダリング」で作家デビュー後に出版した本著は、30万部を超えるベストセラーとなりました。
2023年現在では30冊以上の書籍を出版され、精力的に活動されている作家さんです。
本の概要

価格:781円
発売日:2017/8/4
ページ数:418ページ
本著は「マネーロンダリング」に次いで発表された橘玲さんの2作品目で、著者の実体験を元にしたノンフィクションの書籍です。
2002年に原著が発売され、現在では2017年時点の情報を元に出版された改訂版が最新です。
【要約】お金持ちになれる黄金の羽根の拾い方 知的人生設計のすすめ
本書は、以下の構成で書かれています。
- Prologue 1995-2014
- Part1 人生を最適設計する資産運用の知識
- Part2 人生を最適設計するマイクロ法人の知識
- Part3 人生を最適設計する働き方
- Epilogue 新宿中央のホームレス
橘氏は本書の中で、日本でお金持ちになる方法を紹介しています。
現在では「FIRE」は多くの人に浸透していますが、橘氏が本著で目標とされている「経済的独立」もFIREに通ずるものがあります。
橘氏曰く、経済的独立を達成するためには、世の中に落ちている「黄金の羽根」を拾う必要があります。
黄金の羽根とは制度の歪みから構造的に発生する「幸運」のことで、手に入れた人に大きな利益をもたらします。
例えば、今の日本社会で誰でも利用できる黄金の羽根の一つは、自営業者(中小企業の経営者)になって、「個人」と「法人」を上手く使い分けることです。
地方で当選する政治家は、自分を応援してくれる地域に根ざした中小企業オーナーの意見を無視することは出来ません。
そのため税金や社会保険の仕組みは、中小企業オーナーが有利な仕組みになっているのです。
そういった日本の制度や情報の歪みを上手く利用することでお金持ちに近づくことができるということが、本書の主張です。
本記事では橘氏が紹介する日本でお金持ちになる方法を解説します。
純利益の確保が最優先であることを理解する
お金持ちになるためには家計の純利益を確保することが最優先です。
純利益は以下のお金持ちの方程式の第1項(収入ー支出)にあたります。
お金持ちの方程式
資産形成=(収入ー支出)+(資産×運用利回り)
方程式から分かる通り、純利益の大きさが資産形成の大きさに直接影響します。
さらに純利益がそのまま第2項の資産の額に加えられていくため、第1項が非常に重要です。
上記の方程式から分かる通りお金持ちになるには、次の3つの方法しかありません。
- ①収入を増やす
- ②支出を減らす
- ③運用利回りをあげる
①と②に取り組むことで純利益を増やし、増やした資産を③の利回りでさらに増やす。
お金持ちになるためには、何よりもまず上記の仕組みを理解することが重要です。
収入を増やす取り組みをする
資産形成への最短距離は、収入を増やすことです。
収入が増えることで純利益が大きくなり、資産も多く積み上がるからです。
資産形成の初期では自分が働いて稼ぐ力=人的資本を大きくしましょう。
例えば新しいスキルや資格を取得し、出世で年収アップしたり、年収が高い会社に転職することを目指します。
これは資産が小さいうちは人的資本への投資が、株式などの金融資産への投資より合理的なためです。
例えば利回り1%の金融資産で年に50万円の収益をあげるためには、5000万円の資産を用意する必要があります。
それに比べれば年収50万円アップする方が短期間で達成できるでしょう。
結婚されている方であれば、共働きが最も確実な収入アップの方法です。
人的資本が2倍になるので自分一人のときよりも資産形成のスピードが確実にあがります。
資産形成を最短で行うために、まずは人的資本で収入をあげることに注力しましょう。
収入アップで積み上げた資産がお金持ちへの道を進む原動力となることは間違いありません。
住居費と生命保険の支出をリストラする
橘氏は「確実にお金持ちになるためには支出を減らすこと」と言っています。
収入を増やせるかは不確実性が伴いますが、支出は誰でも実行すれば減らすことができるからです。
家計の中での最大のコストは住居費です。
たいていの人は年収の20〜25%を住宅ローンの支払いや家賃に充てており、これを改善すればキャッシュフローの改善に劇的に寄与します。
賃貸に暮らしている方は、家賃の低いところに引っ越すことで住居費の削減が可能です。
マイホームを購入して住宅ローン支払いが厳しい場合は、プライドや見栄を捨てて家を売却し、身の丈にあった賃貸に移ることを検討すべきかもしれません。
日本人にとって住宅コストと並んでリストラ余地の大きいのは生命保険です。
支払う保険料に見合うメリットがなく、基本的には無駄だからです。
仮に20歳から60歳までの40年間、月額3万円の保険料を払い続ければ総額1500万円です。
上記の場合は、ワンルームマンション1軒購入するのと同じ額を支出します。
もちろん家族がいる方は、万一のために最低限の保障は必要です。
しかし日本人の大半は、過度な保険料を払っているだけです。
よって、無駄な保険料を削減して余裕資金を増やすことで家計は大きく改善します。
「住居費」と「生命保険」は日本人にとって、感情も絡む大きな支出です。
無駄に多く支払っている人も多いですが、支出額を数字で理解し合理的な判断をしましょう。
これらの支出削減に成功することでお金持ちへの道は近づくはずです。
資産運用の常識を理解する
資産運用の最も良い戦略は、優良なインデックスファンドを低コストで買うことです。
この常識を理解しておくことが運用で資産を増やすのに必要です。
投資ではひとつの株を持つより複数分けて所有する分散投資が基本です。
分散投資に便利なのが投資信託(ファンド)で、大きく2つの種類があります。
- インデックスファンド・・・日経平均株価やTOPIXなどの指数に連動する投資信託
- アクティブファンド・・・ファンドマネージャーが運用する投資信託
金融機関は利益率が高いアクティブファンドを勧めてきます。
しかしアクティブファンドは手数料の分、インデックスファンドに運用成績で負けることが統計的に判明しています。
また、ノーベル経済学賞を受賞したジェームズ・トービンは、資産のすべてをインデックスファンドで保有すればもっとも効率的な投資ができることを、数学的に証明しました。
上記のような資産運用の常識は、証券業界では不都合な事実であまり語られません。
証券会社や銀行の窓口で、手数料の高いアクティブファンドを販売しており、収益を得ているからです。
逆に言えば、「インデックスファンドが資産運用の正解」という事実を知っているだけで、資産運用で利益を得ることができるとも言えます。
金融機関は正解を教えてくれないという一種の「情報の格差」に、「黄金の羽根」が落ちているとも言えるのです。
現代はネット証券を通して自分で投資信託や株式を購入できる時代です。
高い手数料を払わなくても、優良なインデックスファンドを低コストで自分で購入できるのです。
黄金の羽根を拾い損ねないように自ら学び続けることが重要です。
マイクロ法人で節税
サラリーマンの給料の30%を占めるのが税・社会保険料です。
税・社会保険料の支出を合法的に節税して、資産形成のスピードを高めることが、お金持ちの条件であると橘氏は言っています。
最適な節税をするために、本書ではマイクロ法人設立を推奨しています。
マイクロ法人とは資本の50%以上を本人または本人の関係者が保有する法人(=同族会社)です。
マイクロ法人のメリット
- 支出を経費にすることができる
- 法人から支払う自分への給料を最適化することで課税所得を0にできる
例えば、本著では法人から個人に支払われる報酬を年収500万円に設定すれば、課税所得を0にすることができる例を紹介しています。
課税所得が0となれば所得税を支払う必要がありません。
上記のような節税が可能になる理由は、日本の社会制度が中小企業に有利に出来ているからです。
一方、サラリーマンの給与からは税・社会保険料が源泉徴収される仕組みになっているため節税の余地がありません。
こういった制度の歪みに黄金の羽根が落ちています。
日本で税・社会保険料を削減していくためには、「法人」と「個人」の仕組みを上手く利用していく必要があります。
制度を知らなければ莫大な額の税・社会保険料を支払うことになるでしょう。
法人に設けられている有利な制度を利用することが、お金持ちになるためには必要です。
【Youtubeで要約】お金持ちになれる黄金の羽根の拾い方 知的人生設計のすすめ
Youtubeで楽しみながら要約を知りたい方は、Youtubeで本書を纏めている方の動画を観るのでも、勉強になります。
フェルミ漫画大学
【要約】お金持ちになれる黄金の羽根の拾い方 知的人生設計のすすめ【橘玲】
サラタメさん
【書籍 解説】黄金の羽根の拾い方|金持ちは”節税”から生まれる
本要約チャンネル【毎日19時更新】
【橘玲】「お金持ちになれる黄金の羽根の拾い方」を世界一わかりやすく要約してみた【本要約】
YouTube図書館
【15分で解説】新版 お金持ちになれる黄金の羽根の拾い方 知的人生設計のすすめ(橘玲 / 著)
聞いてわかる投資本要約チャンネル
【ベストセラー】黄金の羽根の拾い方[22分で解説]
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【15分でわかる!黄金の羽の拾い方 知的人生設計のすすめ】 制度の歪みを探せ!そこに金は落ちている
学識サロン
お金が今から増える方法!11分でわかる『お金持ちになれる黄金の羽根の拾い方』
黒字社長塾
【公認会計士武田雄治の書籍紹介】 橘玲著『お金持ちになれる黄金の羽根の拾い方 ―知的人生設計のすすめ』
本要約・書評の10分解説チャンネル
【本要約】お金持ちになれる黄金の羽根の拾い方
投資サマリー【お金の知識】
【お金持ちになる方法】お金持ちになれる黄金の羽根の拾い方(マナブ氏推薦本要約)
ビジネスサクセスアカデミー / クサマ社長
お金持ちになれる黄金の羽根の拾い方→お金持ちへの近道に必要な1つの方程式
他に要約動画は多数ありました
大人気書籍のため、他にたくさん動画がありました
ご紹介できなかった動画はこちらからご確認ください
『お金持ちになれる黄金の羽根の拾い方 知的人生設計のすすめ』がおすすめの人・おすすめではない人
おすすめな人
- FIREを目指していて支出削減に努めている方
- 法人を持つことによる節税メリットを知りたい方
おすすめでない人
- 経済的自由を目指し始めたばかりの方
- 副業や起業の方法などの収入を増やす具体的な対策を知りたい方
おすすめの人
本書は「経済的自由」を目指す過程の「支出の削減」が特に詳しく書かれています。
住居費のリストラ、マイホームと賃貸の比較、生命保険のデメリットなど、具体的なシミュレーションが多く記載されており、支出を削るための知識を得たい人にオススメです。
また本書のメイントピックの一つとなっている法人を持つ節税メリットを知りたい人には特におすすめです。
法人を持つことで利用できる控除など、普段サラリーマンをしているだけでは知ることができない知識を得ることができます。
おすすめではない人
経済的自由を目指して活動をし始めたばかりの人には、本著の具体的な数値シミュレーションを理解するのは難しいかもしれません。
分からない言葉が多い方は、図解が多くて理解しやすい「お金の大学」などを読んだ後、本書を読むと理解が深まるでしょう。
また収入を増やす具体的な方法を知りたい人にも物足りない内容です。
今はインターネット上のサービスを利用して、副業・ギグワークが簡単にできる時代です。
本書が書かれた2002年は、まだ上記のようなサービスは普及していないため、副業を前提とした資産形成の方法は詳細に書かれていません。
まとめ
本記事では橘氏が紹介している日本でお金持ちになる方法を解説しました。
日本で黄金の羽根を拾い、経済的自由を達成するためには以下が必要です。
- 純利益の確保が最優先であることを理解する
- 収入を増やす取り組みをする
- 住居費と生命保険の支出をリストラする
- 資産運用の常識を理解する
- マイクロ法人で節税する
日本では、税制上サラリーマンと比べると中小企業オーナーの方が有利です。
また、住居費や生命保険などの支出の大きさ、資産運用の常識など知らないと損をする事実が日本にはたくさんあります。
そうした情報や制度の歪みを理解し、「黄金の羽根」を拾うことがお金持ちになるための条件です。
本書で黄金の羽根の見つけ方を学ぶことで、経済的自由にさらに近づくことができるでしょう。
