貯金が大事だとわかっているけど、なぜかお金が貯まらない。
自分には何の能力もないから経済的に成功することなんて無理だよ。
このようにお金持ちになることを諦めている人はいないでしょうか。
本書は平凡でも豊かになりたくて努力をする人に、明確な道筋を示してくれる本です。
貧乏を脱出して経済的に豊かになりたい人
平凡だけど人生を変えたいと思っている人
お金持ちになるための倹約生活を続けるモチベーションをあげたい人
『私の財産告白』について
本書は東京大学教授・本多静六氏が、貧乏から一代にしてお金持ちになった考え方やノウハウが書かれています。
本多氏が主張している方法を実践することができれば、いつでも誰でもお金持ちになれる普遍的な内容です。
著者について
本多静六氏は「公園の父」と言われ、多くの公園の設立に寄与した日本で初めての林学博士です。
特に日比谷公園やその他全国の有名な公園を設計したことで有名です。
本多氏は1866年に埼玉県の裕福な農家に生まれましたが、9歳で父を亡くして貧乏生活に転落。
その後奮起して懸命に勉強し、19歳で東京農林大学(現東京大学)に入学しました。
大学を主席で卒業後、ドイツに私費留学して博士号を取得。
帰国後は母校の助教授、そして教授になりました。
エリートの経歴を持つ本多氏ですが、ドイツから帰国後は質素倹約の生活に目覚め、資産形成に努めました。
結果、40歳のころに大学教授の給与よりも資産収入の状態が多い「経済的自立」を達成。
ところが、「人並みはずれた大きな財産は身のため子孫のため有害無益である」
と言って60歳の大学教授の定年退官とともに自分のわずかの老後資金、土地、家屋を残して全額寄付してしまいました。
一度は敗戦で老後資金までも没収され無一文となりますが、倹約生活を続け、経済的な基盤を回復。
資産形成でも生涯を通して、すばらしい結果を残した人物です。
本の概要

- 価格:660円
- 発売日:2013/5/15
- ページ数:216ページ
私の財産告白の原著は1950年11月に出版されました。
本多氏が80代の晩年に書かれた書籍であり、彼の人生哲学が詰め込まれた一冊です。
【要約】私の財産告白
本書は、以下の構成で書かれています。
- 私の財産告白
一、貧乏征伐と本多式貯金法
二、金の貯め方・殖やし方
三、最も難しい財産の処分法
四、金と世渡り
五、これからの投資鉄則 - 私の体験社会学
一、儲かるとき・儲からぬとき
二、儲ける人・儲けさせる人
三、人間的サラリーマン訓
四、人を使うには・人に使われるには
五、平凡人の成功法
本書は日本におけるマネー本のバイブルと言える一冊です。
財産を築くための根幹は質素倹約であることと、貯蓄をすることです。
本多氏は自ら考えた「四分の一天引き貯金法」を実践し、資産の基礎を作りました。
また本多氏はこの貯金で作った資産を投資で増やすことに成功します。
ドイツ留学時代の恩師からは「社会大勢に乗った投資をするべし」の教えを受けていました。
そこで彼の専門分野である林業の知識を生かし、今後有望となる山林を購入し続け、それが時代を経て大きな資産となりました。
このように本書には、貯蓄を行い、それを種銭として投資で資産を増やすという当たり前のことが書いてあります。
しかし本多氏の金言や実績を読むことで、平凡な人が経済的に成功するためには、当たり前のことをやるしかないと深く理解することができるでしょう。
その理解が経済的自立にむけた行動に繋がっていくはずです。
本記事では本多氏の資産形成方法や金言を紹介しつつ、平凡な人でも可能な経済的自立の方法を解説します。
貧乏をやっつける覚悟をする
貧乏から抜け出すには自分で貧乏をやっつける覚悟が必要です。
自分の意志で積極的に質素倹約の生活をしなければ、お金を貯めることはできないからです。
本多氏は大学助教授に就任したばかりのころ、9人も養う家族がいたそうです。
しかし大学教官とはいえ、給与だけで9人もの家族を食べさせていくことは簡単ではありません。
このままでは貧乏生活を抜け出せないと本多氏は考え、貧乏をやっつけると決意します。
自ら質素倹約の生活に取り組み、貯蓄をすることで貧乏を圧倒しようと考えたのです。
その中で編み出したのが「四分の一天引き貯金法」です。
収入の内、4分の1を貯蓄するという質素な生活は並大抵の努力ではできません。
現に本多氏家族は給料日前の食事が胡麻塩だけになってしまうほどでした。
しかし貧乏を圧倒する覚悟のもと、将来の生活が良くなることを目指していたからやり遂げることができました。
今、自分の生活が経済的に苦しいのであれば、まずは貧乏をやっつけるという決意が必要です。
その覚悟が倹約生活を継続する原動力となります。
本多式「四分の一天引き貯金法」を実践する
お金持ちへの第一歩は天引きで貯金をすることです。
本多氏が25歳のころに始めた本多式「四分の一天引き貯金法」は以下の通りです。
- あらゆる通常収入が入ったとき、4分の1を天引きで貯金する
- 臨時収入は全部貯金する
現代のサラリーマンでいうと月々の給料の25%を天引き貯金、ボーナスは全て貯蓄に回すということです。
天引き貯金法は今でも広く言われていますが、実践出来ている人は少ないのではないでしょうか。
本多氏は貯蓄生活を続けるための一番の障害は「虚栄心」であると言っています。
見栄で少し上のレベルの生活をしてしまうことで、お金を無駄に使ってしまうからです。
それよりも一歩引いて、身分相応の質素な生活から始めるべきと本多氏は主張します。
本多氏がいうように、まずは自分の生活レベルを相応のものにすれば天引き貯金は可能です。
お金持ちへの第一歩として天引き貯金を開始しましょう。
「四分の一天引き貯金法」を現代用にアレンジする
お金持ちに必要な「四分の一天引き貯金」ですが、現代に即した方法にアレンジする必要があります。
当時と現代の違いとして、貯金の利子を考慮しておく必要があるからです。
本多氏の貯金法では銀行預金の利子を通常収入の中に含めて良いことになっています。
当時の預金金利は5%前後で、預金しておけばその分お金が増えていく時代でした。
本多氏の時代は貯金するほど利子が大きくなり、使えるお金が増えるので生活が段々と楽になりました。
一方、2023年の現代では預金金利は0.001%台であり、銀行預金の利子はほぼ増えません。
そのため、利子により生活が楽になることはないでしょう。
このように前提が違うので、現代で本多氏の真似をするだけでは、貯蓄を継続することは難しいです。
そこで以下のように現代に即した方法にアレンジすることも必要です。
- バビロンの大富豪で言われているように天引き貯金を収入の10%にする。
- 年間の貯蓄額の上限を決めておき、それを達成できたら余剰資金は使って良い。
生活を破綻させることなく、継続できる目標にすることが重要です。
本多氏が実践した本多式「四分の一天引き貯金法」はアレンジすれば誰でも可能で、お金持ちへの第一歩として必要です。
今の時代にあった方法を自分で考えて、実践することも大事になるでしょう。
何を言われようと豊かになる行動を続ける
貧乏を抜け出すために質素倹約の貯蓄生活を継続する努力が必要です。
倹約生活をしていると、家族や友人など周囲から「そこまでしなくても」などと見られてしまうことがあります。
そんなとき自分のお金持ちになる決意がゆらいでしまうかもしれないからです。
本多氏は「吝嗇と節倹は全く別物である」と言っています。
吝嗇(りんしょく)とはドケチのことで、出すべきものを出さず、義理人情を欠いてまで欲張ることです。
それに対して節倹は出すべきものを出し、義理人情も尽くします。
その一方、自分に対してだけは足るを知り、無駄な支出をせずに自己を抑制した生活をします。
経済的自立を目指す人は「節倹」を目指すべきであり、「吝嗇」になるべきではありません。
本来出すべきものにお金を出す質素な生活は「節倹」であり、他人からとやかく言われても恥ずべきことではありません。
お金持ちになるための倹約生活では、周囲から変に見られることもあるでしょう。
しかし倹約でお金を増やし、自分のやりたいことを叶えるのは志が高い行為です。
恥ずべきことなく自分の努力を継続することが、豊かになるためには重要なことです。
比較的安全な投資をする
経済的自立を達成するには、貯蓄だけでなく投資が必要です。
投資では元本が保証されるものでなく、自分がとれるリスクを取る必要があります。
リスクを受け入れなければ、投資によって利益を得るチャンスも逃してしまうからです。
例えば、元本割れをする可能性があるからといって、株式や投資信託に投資しなければ、株価が上がっても利益をあげることはできないでしょう。
ただし、投資をするときには自分がとれるリスクを見極める必要があります。
本多氏の投資は、未開拓となっていた山林を買い集めることでした。
自分が林学の専門家であったため、どこの土地に価値があるかを見極めることが出来たのでしょう。
結果、三菱や三井といった財閥に先駆けて、優良な投資先となった土地をほぼ買い占めることができました。
本多氏は投資をするときには絶対安全から「比較的安全」へ歩み寄るべきと言っています。
彼のように自分の専門、あるいは勉強をしたものへの投資であれば、「比較的安全」の見極めが可能です。
投資は昔も今もリスクのある活動であることは変わりません。
進んで勉強して、何に投資をするべきかを見極め、適正なリスクをとっていきましょう。
雪だるまの芯を大きくする
質素倹約、貯蓄生活で貯金を作ったら、それを大きくしていきましょう。
失敗しなければ、まるで雪だるまの芯が転がるように、貯金を元にしてお金がお金を呼び、ひとりでに増えていきます。
貯蓄を元にして適切な投資をすることで、その資産から収入を得ることができます。
しかしそれだけではなく、経済的な基盤があることで自分の仕事にもいっそう一生懸命に取り組むことができるようになり、本業の収入も増えていくのです。
本多氏の場合も、経済的自立が確かなものになるほど、大学教授の本業のほうも面白くなって、人一倍働くようになったそうです。
本書では楽しんで働いて稼ぐお金のことを「職業道楽の粕」と呼んでいます。
最終的に人生を楽しむためには職業道楽を追求することが必要だと本書では言っています。
楽しい仕事ができれば、ますます多く働き、その「残り粕」であるお金を増やすことができるのです。
貯金を作ることは、単に投資資金を作るということだけではありません。
そのお金は自分の自信を裏付ける雪だるまの芯となり、転がり続けることで資産収入だけでなく、働いて得る収入を増やすことになります。
雪だるまの芯を大きくしていけるように、貯金ができたら日々の仕事に一層励むことが重要です。
『私の財産告白』がおすすめの人・おすすめではない人
おすすめな人
・お金持ちになるための法則を学びたい人
・地味な倹約生活を続けるモチベーションが欲しい人
おすすめでない人
・ビジネスを成功させる方法を知りたい人
・最新の情報を知りたい人
『私の財産告白』がおすすめの人
本書にはお金持ちになるための一般論が書いてあります。
- 質素倹約に努め、天引きで貯金をする
- 貯金は投資に回して増やしていく
当たり前のことですが、それらを強力な精神力でやり遂げた本多氏の金言、エピソードは現代でも私たちのモチベーションをあげてくれます。
お金持ちになる方法を知りたい方はもちろん、それに向けて努力を続けている人にも継続する原動力を与えてくれる書籍です。
『私の財産告白』がおすすめではない人
本多氏は教官の給与所得と、投資によって資産を作り上げました。
自分で作ったビジネスで成功したというわけではないので、自分で事業を作って経済的自立を目指す人には物足りないかもしれません。
また通常収入に預金利子が前提になっているなど、現代には当てはめることができないこともあります。
最新の情報を知りたい人は自ら調べたり、最近出版された書籍を参照する必要があるでしょう。
【Youtubeで要約】私の財産告白
Youtubeで楽しみながら要約を知りたい方は、Youtubeで本書を纏めている方の動画を観るのでも、勉強になります。
聞いてわかる投資本要約チャンネル
貯金の法則!絶対に貯まる方法とは【私の財産告白|本多静六】レビュー
両学長 リベラルアーツ大学
【私の財産告白】日本の大富豪が教える「四分の一天引き貯金法」について解説【貯める編】:(アニメ動画)第306回
倹者の流儀
【究極の蓄財術】本多静六式!四分の一天引き貯金法と3つのポイント【私の財産告白】
凛として書評
【8分で解説】『私の財産告白』 | 本多静六 大富豪の極意に学ぶ、貧乏を吹き飛ばすエッセンス
キクホン【聴く読書チャンネル】
【本要約・書評】『私の財産告白』に学ぶお金持ちになる方法
いたさんの「10分で学び、その日に実践 」【書籍要約&解説チャンネル】
【書籍解説/要約】『私の財産告白』著者:本多 静六 さん(約14分)
ミニマリストゆみにゃん
【お金】日本の大富豪が教える「四分の一天引き貯金法」【私の財産告白】/節約/貯金/蓄財/投資
他に要約動画は多数ありました
大人気書籍のため、他にたくさん動画がありました。
ご紹介できなかった動画はこちらからご確認ください
まとめ
今回は本多氏の資産形成方法や金言を紹介しつつ、平凡な人が今日からでも出来るお金持ちへの道を紹介しました。
お金持ちを目指すためには以下のことが必要です。
- 貧乏をやっつける覚悟をする
- 本多式「四分の一天引き貯金法」を実践する
- 「四分の一天引き貯金法」を現代用にアレンジする
- 何を言われようと豊かになる行動を続ける
- 比較的安全な投資をする
- 雪だるまの芯を大きくする
お金持ちになるための方法は今も昔も変わりません。
自分で貧乏を抜け出すと決断し、質素倹約な生活をして懸命に働くこと。
このような当たり前のことを続けるだけでお金持ちへの道は見えてきます。
本書はその道筋を示してくれる一冊です。
本書を読むことで努力を続けるモチベーションが湧き、将来の経済的自立に向けて力強く進むことができるでしょう。
